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三世大谷鬼次の奴江戸兵衛

三世大谷鬼次の奴江戸兵衛

Regular price ¥8,500 JPY
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この絵は写楽作品中でとても有名な一枚です。寛政六年五月、河原崎座上演の「恋女房染分手綱」に登場し、悪人鷲塚八平次の手下の役を描いた作品です。 悪人の一味であり、この絵を一見しただけで、敵役大谷鬼次のマスクに、このポーズにも敵役そのものの凄味が表れています。無理にも引き歪められて一文字に結ばれた口、角形の紅隈で限られた二つの陰惨な眼、パッと広げた両手の表情には、見る人を引き込む迫力があります。悪方の一瞬が、これほど緊迫感をもって描かれている絵はそうそうありません。この緊迫感は、突き出した顔面を大きく描き、そこに重点が置かれているので、迫る力に圧倒されます。両手の描写はいささか不自然ですが、それはむしろひとつの雰囲気として必要であるだけで、さして問題ではなく、むしろこの絵をより印象に残るものとさせています。また、この絵を傑作にしているひとつの要素は、その色彩にあります。大敵でない、それでいて憎らしい、という端敵役であるために、その衣裳はかえって安手で派手であるのは歌舞伎の常道で、その役柄の色がここにとても出ています。紅殻色の地に黄の縞も派手なら、襦袢の紅、着物の裏の濃緑も派手。この派手さが不気味なマスクをさらに憎らしく見せている。写楽の芸術をダイレクトに知るにはとてもいい作品ではないでしょうか。


東洲斎写楽(とうしゅうさい しゃらく)

生没年不詳
寛政6年(1794)、浮世絵界に彗星のように登場し、わずか10ヶ月の作家活動の間に140数点もの浮世絵を世に送り出すと忽然と姿を消しました。写楽は大判のしかも背景を高価な黒雲母摺という尋常ならぬデビューを果たしました。版元の蔦屋重三郎は、歌麿が重三郎の専属を離れたのちに大々的に写楽を売り出しましたが、次第に大判が少なくなっていきます。その理由として、写楽の人気役者であろうと美化せずに、ありのままを描きとる筆致は、役者ファンをはじめ当時の人々の好みに合わなかったからなのかもしれません。しかし、どれも躍動感にあふれた役者絵は見る者に強烈なインパクトを与え、海外でも高い評価を得ています


東洲斎写楽選 東洲斎写楽
写楽の作品が重んじられる理由のひとつに、その遺品が少ないということにあります。また残念ながら写楽の芸術を理解し、認識したのは日本ではなく海外が先でした。日本人が彼の作品を認めない間に、多くの作品は海外に流れ、その芸術が絶賛されたのです。昭和18年、海外から持ち帰った松方コレクションが博物館に入り、その数も増した程度であり、こうした限られた少数の作品を復刻したのがこの40作品で、いずれも写楽の大傑作です。

寸法:横21cm×縦31cm

用紙:越前生漉奉書

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